天気予報スレ

1 :名も無きリスナー:06/10/24 09:49:11 ID:9wU/Mf8P
明日天気になぁれ

2 :名も無きリスナー:06/10/24 10:21:22 ID:???
いつの頃からだろうか。
明日の天気を気にし始めたのは。
小さい頃は何でも良かった、雨なら雨で楽しみだったものだ。

だが、いつの頃からか晴れていることを望むようになっていた。
雨だと心が湿ってならない。
憂鬱だった。
弾まない。
アンラッキーデイ。
それがボクにとっての雨の日だった。

「何考えてんだ?そんなに憂鬱そうな顔をして」
「雨が降りそうだなって」
「そりゃー天気予報が振るっていってたんだから振るだろう」

3 :影瑠 ◆L.Radio..2 :06/10/24 10:29:39 ID:???
こいつは佐伯健太、この学校に来てから知り合ったんだがやたらと気があいよく一緒にいる
よく言われる悪友?親友?まぁ、いい仲間だ

「ところでお前、傘持ってきたか?」
「なんだ、それでずっと外見てたのかよ」
「やっぱ濡れて帰るのはイヤだろ、寒いし」
「確かにな、オレ様は傘なんぞ持ってきてねーぞ」

ふむ、どうやらオレ達二人はこのまま雨が降ってくると濡れて帰るハメになりそうだ

「ま、雨降ってきたら購買行ってビニール傘だな」
「おお!健太!賢い!!」
「そのくらい早く気づけるようになった方がいいぜ?」
「本当に賢ければ傘持ってきて女の子と一緒にかえるんだよ・・・」

4 :名も無きリスナー:06/10/24 10:44:26 ID:???
「あ、あの、傘持ってないんですか?」

そんなボク達二人に背中から声がかかった。
クラスで一番背の低い天野唯が怯えるようにして立っていた。
あんまり話したこと無い奴だったので声がかかったことに首をかしげていると

「そうだけど?」
健太と顔を見合わせるようにしながらも答えた。

「わ、わたし、置き傘してるし、折りたたみも持ってるから一本……貸しましょうか?」

5 :影瑠 ◆L.Radio..2 :06/10/24 11:03:41 ID:???
「え、いや、いいよ、悪いし……ボクらはなんとかするから」
「いやいや、ココは傘を借りてオレら男二人で相合傘で帰るのも悪くないもんだぜ?」
「イヤだよ、方向逆じゃん、そもそも」

「あ、あの……気にしなくてもいいですから、か、風邪ひいちゃったら大変だし……」

むしろ、そんなに話をしたことも無かった天野さんがなんで突然??
そんなにボク、雨が憂鬱そうな顔してたのかなぁ
ああ、健太のために貸してくれるって言ったのかな?

6 :名も無きリスナー:06/10/24 11:14:05 ID:???
「なら、オレが借りていいか?」

おい、ここでお前がそれを言うのかよ。
と心の中で突っ込んだ。
天野さんも、やっぱりすすんで貸したくなかったのだろう。
どこか肩を落として見えたのはキノセイではない筈だ。

「……は、はい。どうぞ」
「ありがと、それでついでにだけどもう一個頼んでいい?
こいつ送ってくれね?
オレ方向逆だけど、天野は一緒の方向だったよな?」

7 :影瑠 ◆L.Radio..2 :06/10/24 11:25:53 ID:???
「ふぇ?」
「うおい!……ん?どういうこと?」

「だからぁ、オレ様が天野の傘を借りて、おまえは天野と一緒に帰れば3人とも濡れなくてハッピー、OK?」

ちょ、ちょっとまて、それだと自動的にボクと天野さんが一つの傘で帰ることになるじゃないか
そんなの王道すぎて恥ずかしいぞ!
きっと天野さんだっていやg

「…………ぃぃょ。」

ん?今天野さんなんか言った?

「ほら、天野さんだって……」
「い、いいですよ、じゃあ佐伯さんにはこの傘お貸ししますね、ちょ、ちょっと小さいけど一人なら大丈夫だと思うので」
「え、ええええええっ!?」
「お、サーンキュー、ちゃんと明日のし付けて返すからな」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って、天野さんいいの?」

8 :名も無きリスナー:06/10/24 11:37:02 ID:???
「それじゃ、また明日。」

質問をさえぎって傘を受け取ると健太は急ぐようにしてその場を離れた。
くそ、あとで正座二時間だな、あいつめ……

「…………」
「…………」

ダメだ、何も思いつかない。本当に二人で帰るのか?
じょ……冗談だよな?
この沈黙なんか耐えられん、断ろうと口を開きかけたところに。

「…………私と一緒に帰るの嫌ですか?」

大佐ダメだ、先制攻撃だ。
そこ、上目使いなんか使うな、反則だろうが。

9 :影瑠 ◆L.Radio..2 :06/10/24 11:48:21 ID:???
「い、いや……嫌ってわけじゃないけど、ほら、天野さんに迷惑かなぁ……なんて」
「え?なんでですか?」

大佐、助けてくれ
上目づかいで小首を傾げて『なんで?』とか聞いてきやがる

「ほ、ほら。年頃の二人が一緒の傘で下校とか……へ、変な噂が立ったりしたら天野さんに迷惑かかるし」
「……たぶん……大丈夫ですよっ」

ノゥ!満面の笑みでそんな事言われたら『はい』としか言えないじゃないか

「そ、そっか……確かに濡れるのは困るし風邪ひいちゃうかもしれないしな……」
「そうですよ、この時期に風邪ひいたらこじらせちゃう時もありますし、それで学校休んだら……」
「ん?休んだら?」
「……えっと、ほら!試験とかにも響くかもしれないですし!」
「あ〜、そっかぁ……う〜ん、じゃあお言葉に甘えて傘に入れてもらおうかなぁ」

10 :名も無きリスナー:06/10/24 11:58:19 ID:???
「はい、喜んで……ぁ、私……」

力強く返事をした後に顔を赤らめて俯いてしまった。
いや、あの、勢いでいかないと恥ずかしさが増すから。

「じゃ、じゃあ、帰ろうか?」
「……そうですね、あの、私傘取ってきますから待っててください」

置き傘は別の場所に置いているらしい。
………このまま戻ってくる前に帰った方が良くないか?
いや、それはそれで人としてまずいか。

「見ーちゃった。モテモテだね」

天野さんが去った扉、その反対側の扉から姿を出したのは幼馴染の綾子だった。
また厄介な奴に見られたもんだ。

11 :影瑠 ◆L.Radio..2 :06/10/24 12:08:29 ID:???
「見てたのかよ……だったら、声かけてくれりゃいいじゃないか……」
「いやいや、あんなシーンで話しかけるほど野暮じゃないってば」
「そうだよ!天野さんと帰らなくても綾子と一緒に帰れば問題ないじゃないか!」
「……はい?」
「だから、綾子の家は同じ方向なんだし、そっちの方が気が楽だし」
「え〜っと、それは今一緒に帰る約束をした子をほっといて帰るってことかしら?」
「うぐっ……」

それもそうだよな、たった今天野さんと約束したばかりなのに「やっぱやめ」って言える訳もないし
あ〜、冷静になったら色々と恥ずかしいぞ……

「うふふ、じゃあ邪魔にならないように先に帰るわね」
「ちょっ、ちょまてよ!」
「まちませーん、同じタイミングで帰ったら結局3人で帰る事になっちゃうしね、ばいばーい」

いっちまった……
なんだよ、3人で帰ったっていいじゃなんか、こんだけパニくってんだからフォローしろよー

綾子が扉を出て少しした後、廊下をトタトタと走る音が聞こえてきた

12 :名も無きリスナー:06/10/24 12:16:52 ID:???
「ごめんなさい待たせちゃいましたか?」
「ぜんぜん。ゆっくりで良かったのに」

綾子の相手してたしな。
そういう意味だと変に考えずにすんだしあいつに感謝か?
かなり癪なんだがな。

「よ、よくないから。待たせたりとか……」
「そ、そっかな?」
「そうですよ!」

二度目の大声。必死になってるって言うか。

「結構天野さんって声大きいんだね」
「え? あっ…………そ、そういうこといわないでください」
「ごめんごめん」
「次言ったら雨の中に突き出しますからね……」

さりげなくひどいし。

「それじゃー帰ろうか?」
「は、はい」

気づけば雨が降り出していた。
つーか話さずにさっさと帰ったら雨が降り出す前に帰れたんじゃないだろうか。

13 :影瑠 ◆L.Radio..2 :06/10/24 12:49:56 ID:???
まさかボクが女の子と一緒の傘で帰る日が来るとはなぁ
隣には傘を持って歩いている天野さんがいる
『大丈夫ですよ』って言ってたけど、この状態を他のクラスメートに見られたら確実に何か言われるだろうな……

天野さんはクラスの中でもひときわ目を引く方の子だ
まぁ、一番最初に目が行くのは身長なんだけどね
小柄……と言うかコンパクトと言うか、詳しい数字は知らないけどかなり小さい
そんな小さい子が隣で傘を持ってオレに引っかからないように一生懸命腕を伸ばしている

ん?腕を伸ばしてる?

「あ!ご、ごめん、傘持つの大変でしょ」
「え?あ……だ、大丈夫ですよ」
「いやいや、身長差の事を忘れてたよ、ごめんね」

ボクはひょいと天野さんから傘を受け取り、彼女の肩に雨が当たらないように少し傾けた
ボクの右肩が少し雨に当たる、でも全身濡れるよりは全然マシだ

「ありがとうございます……」
「いえいえ、このくらい。濡れなくて済むならお安い御用ですよ、お嬢様」

「さっきも道路側から歩道側に移してくれましたよね」
「あ〜、うん。ほら、車来たりしたら危ないじゃない?」
「……ありがとうございます」
「いやぁ、気にしないで勝手にやってるだけだから(笑)」
「もう少ししっかりしたいなぁ……」
「え?天野さんしっかりしてるじゃない」
「でも、一度は綾子さんみたいに頼れる女!って感じになってみたいじゃないですか」
「そ、そう?そんなもの?」
「私は……あんまり身長も無いからどうしても子供っぽくみられちゃうんですよね……」

ありゃ、もしかしたらコンプレックスなのかな……
さっき身長差とか言っちゃったな……失敗だったかな……

14 :名も無きリスナー:06/10/24 23:33:46 ID:???
「ボクはぜんぜん気にならないけどね。そういうのも個性だと思うしさ」
「…………本当ですか?」
「うそつかないって、ほら、なんか守りたくなるっていうの?
綾子と一緒にいても綾子に守られそうだしね」
「それはちょっと情けないですよ」

なんとか話を変えるのに成功か。
ちと恥ずかしいが作戦成功ならオッケーか。

「でも、綾子だしなぁ。綾子が守られてるのって想像できないな」
「くすっ……確かにそれはそうかもしれませんね」

想像してみて可笑しかったのか、天野さんは笑顔をこぼした。
思えば天野さんの笑顔をこんな間近で見たのは初めてかもしれない。

15 :影瑠 ◆L.Radio..2 :06/10/25 03:01:09 ID:???
「女の子は女の子っぽい方が……かわいいよ」
「え?……そ、そうですか?」
「うんうん、綾子はいろんな意味で強いからなぁ」
「……やっぱり、仲……いいんですね」

あれ、ちょっと元気なくなっちゃった。
えっと、どうしたらいいんだ……

「ほ、ほら!やっぱ幼馴染でちっちゃい時から一緒だし」
「そうですよね……」

16 :名も無きリスナー:06/10/26 09:50:35 ID:wvQ1VtxO
そう言って天野さんは笑った。
可愛いけど、どことなくぎこちない。
どうしたの? とボクが聞くのが早いか、彼女が足を止めた。
雨が彼女の頭を濡らす。ボクは慌てて傘を移動させた。
「……どうしたの?」
「…………」
天野さんは俯いたまま、何も答えない。
何か気に障ることでも言ってしまったのだろうか。
ほんの数秒。沈黙が心地悪くなり始めたころ、天野さんは言った。
「佐伯君と綾子さんって、付き合ってるんですよね?」

――今度は、ボクの頭を雨が濡らした。

17 :影瑠 ◆L.Radio..2 :06/10/27 10:35:38 ID:???
「……え?なんで?」
「い、いや、いつも……な、仲よく話してるし……よく一緒に帰ってるし……」

「それは……」

18 :名も無きリスナー:2007/01/12(金) 20:46:00.7966 ID:pUQKWkyE
言葉をなくした。
なんていっていいのかが分からない。
幼馴染であっているはずなのだが、それもはばかられた。

「傘、明日返してくれたらいいですので、それじゃ……」

ボクに押し付けるように傘を渡すと、天野さんは雨の中へと消えた。
ボクは背中を見送るしかできなかった……

19 : 俺のプリンを勝手に食った犯人はこいつです↑ :2007/03/05(月) 18:17:11.3715 ID:kzfv0a0g
そして翌日―――
とても風の強い日であった